
おや、お客様とは珍しいですな。
なんと、わざわざ遠くプロンテラからお越しになったのですか。
さぞかしお疲れになったでしょう。さ、どうぞ中へお入りください。
内履きはそこにございますので。
そういえばご挨拶がまだでしたな。
どうも、お初にお目にかかります。
本日はこのような寂れた場所をお訪ねいただき、本当にありがとうございます。
ああ、そのように畏まらずに。古ぼけた屋敷ですが、どうぞ我が家と思ってお振る舞いください。
わたくしの名前ですか? ああ、いえ。そんな、名乗るようなものではございません。ええ、はい、それはもう。
ささ、どうぞお座りになってください。今から粗茶などお入れいたします。
お客様のお口に合えばよろしいのですが。
なにぶん、このように薄暗い屋敷に篭りきりの暮らしなものですから、巷の流行などにはとんと疎くなってしまいましてね。
プロンテラなどには、もう何年も足を運んでおりません。
最近は、モンスターの活動も活発になっておると風の便りに聞いておりますが、それは真のことなのでしょうか。
はあ。
そうですか。うむ、それは大変ですなあ。
ええ。それはもう。やはり、平和な暮らしが一番ですからね。
生きていく上で、安らぎがなければ、人は幸せにはなれません。
しかし、お客様も物好きですなあ。
どうして、わたくしの所などお訪ねになろうと思ったのですか。
ほう。
わたくしの噂を耳になさったと。
それで、興味が湧いたとおっしゃるのですね。
ふむ。
具体的に、どのような噂をお耳になさったのでしょうか?
なるほど。
ええ、その通りです。
お客様のおっしゃる通り、わたくしは調教師と呼ばれる仕事をしております。
それは、どんな仕事なのですかって?
ははあ、なるほど。
お客様はそれが気になって、わざわざこのような場所までお訪ねになられたのですね。
いいでしょう。
たまには、こうしてのんびりと己のことを語るのも良いかも知れません。
あ、お気をつけて。湯飲みが熱くなっておりますから。はい、そう、ゆっくりとお飲みください。
なにしろ、長い話になりそうですからな。
ええと、それでは、一体どこから話したものでしょうか。
見たところ、お客様は冒険者のようですね。
それならばきっと、モンスターと戦った経験もおありでしょう。
ふむ。ここに来るまでにも、多くのモンスターに襲われましたか。
それはさぞかし大変だったでしょう。
しかしまあ、なんといいますか、世の中には物好きな人がいるものでしてね。
どうにも、本来我々の敵であるはずのモンスターに、こう、性欲を抱いてしまうような、そのような趣味の方もいらっしゃるのです。
しかし、相手はモンスターですからな。そのままでは当然、人と交わることなどできはしません。
一部のモンスターは、特殊なアイテムを用いることによって、ペットのように飼い慣らすことも可能ではありますが、それでは飽き足らぬという方のために、わたくしのような者がおるのですよ。
ええ。ここまで申せばもうお分かりになったかと思いますが、わたくしはモンスターを調教するのを生業としておるのですよ。
持ち主に忠実な性の奴隷として、ね。
うけけ。
ああ、いや、これは申し訳ございません。
わたくしの悪い癖でございましてね。興が乗った時、ついつい、こうして、笑い声を上げてしまうのですが、その笑い声が、どうにも気色悪いと、よくそのように言われるのです。
ご気分を害されたのでしたら、なにとぞお許しください。
はい。
ああ、これはこれは。そのようにおっしゃっていただけると、こちらも助かります。
ええと、それで、どこまでお話ししましたかな。
そうそう、モンスターを調教して、性奴にするというところでしたな。
ふむ、どのようにモンスターを捕らえてくるのか、ですか。
それはまあ、色々ございますな。
ブローカーから持ち込まれたモンスターを、こちらで調教して、やってきたお客様に売り渡すこともございますし、お客様自身が調教して欲しいモンスターを持ち込まれることもございます。
この間も、アリスをお持ち込みになられたお客様がおいでましてね。
アリスのテイミングに成功したのだが、ペットではなく、これを夜伽に使えるメイドとして調教して欲しいと、そうおっしゃられたのです。
ほう、ほう。
その時のことを、もっと詳しくお聞きになりたいと。
いいでしょう。では、お話ししましょうか。
わたくしとしては、あまりアリスの調教は好きではないのですがね。
なにしろ、元々が主人に忠実なメイドとして作られたモンスターですからなあ。
調教師といたしましては、あまり腕の振るいどころがない、面白みの無い仕事なのですよ。
とはいえ、見た目が可愛らしい女人の姿ですからな。
一番人気といっても良い、そういう商品でございますよ。
おっと、少し話が横道に逸れてしまいました。申し訳ありません。
アリスの調教についてでしたね。
さっきも申しましたとおり、アリスは元々、主人に仕えることを至上の喜びとしております。
作られた時から、そのように意識に刷り込まれておるのですね。
しかし、その喜びというのは、あくまで精神的なものでございます。
その精神的な喜びを、肉体の喜びと関連付けてゆくことが必要になってまいります。
嬉しいという感情を、表情や言葉ではなく、肉体の反応として表現するように、アリスを導いていくのです。
調教前のアリスは、肉の喜びを知りません。
そこで、まずは、アリスに快楽を教え込みます。
アリスは人を模して作られたモンスターですから、躯の作りに関して、通常の人間の女性とそう変わるところはございません。
違うところといえば、子作りのための子宮がないことや、初めから処女膜が存在しないという、そのあたりです。
他には、そう普通の女体と異なったところはございません。
ですから、快楽を教え込むためには、丹念にアリスの感じるところを探り、たっぷりと何度も絶頂に導いてやればいいのです。
この間のアリスは、乳首とわきの下が弱かったようでしてね。
初めは、自分が一体何をされるのかと怯えていましたが、そこを重点的に責めてやると、すぐに甘い声を出し、とろけたような表情になってまいりました。
潤みを帯びてきた女性器に指を這わせ、膨らんだ突起を指で摘み、左右に捻りながら、硬く尖った乳首を吸い、わきの下に舌先を這わせます。
薄く開いたアリスの口から、愉悦が声となって洩れ出し、腰をくねらせて悶え出しました。
溢れ出す愛液はその量を増し、狭い肉の洞窟は、容易く指を飲み込んでいきます。
絡みつく肉襞を指の腹でなぞり、初めはゆっくりと、徐々に激しく、突き入れた指を前後に動かし、アリスを快楽の高みへと誘ってゆきます。
やがてアリスは全身を大きく震わせ、肉の綻びから大量に潮を吹き、絶頂に達します。
あとは、それを、アリスの感情と繋げてゆけばいいのです。
条件付け、とわたくしは呼んでいるのですがね。
アリスが精神的に嬉しい、と感じている時に、さっきのように、アリスを絶頂に導いてやるのです。
つまり、精神的な喜びと、肉体的な喜びとは、必ず二つで一つのセットになっているのだと、そう教え込むのです。
やがてアリスは、精神的な喜びを感じた時に、無意識のうちに肉の疼きを覚えるようになっていきます。
嬉しい、と、そう思った時、にこやかな笑みを顔に浮かべるだけではなく、女陰の奥が熱くとろけ出してしまう。
そのようにアリスを変えてゆくのです。
もちろん、完璧な商品としてお客様に喜んでもらうためには、技術的なものも仕込まなければなりません。
例えば、口腔性交です。
アリスの唇に、こう、反り返った一物を含ませ、舐めるよう命ずるのです。
いくらアリスが主人の命に忠実であるとはいえ、それは通常の家事などについてのことです。
先ほどの快楽を仕込む場合もそうなのですが、本来アリスの役目として想定されていないことを無理にしようとすれば、もちろん、最初は抵抗を示します。
それでも、強く命じれば、アリスは従わざるを得ません。
そうして、アリスが怒張を口に含んだら、今度は、優しく頭を撫でてやるのです。
自分の今している行為が、主人を喜ばせているのだと、そうアリスに知らせてやるのですよ。
舐め方についても同じです。
初めのうちは、アリスの口技もぎこちないものです。そのような知識も技術もないのですから、まあ当然なのですがね。
男性器を口に含んだまま、どうしていいか分からず、戸惑ったようにこちらを見上げてきます。
そこで、舌の使い方や、指使いなどを、ゆっくりと教え込んでいきます。
どこを舐めれば男が感じるのか。
どういう力加減なら良いのか。
それらを、根気よくアリスに仕込んでいきます。
大切なのは、アリスがこちらの感じるツボを刺激してきたのなら、それをアリスに伝えてやるということです。
頭を撫でてやったり、優しい言葉をかけてやったりと、方法は色々ございます。
そうして、アリスの口の中に、たっぷりと精液を注ぎ込んでやります。
調教前のアリスは、男の性についての知識を何一つ持ち合わせておりません。
初めて口内射精をされた時など、こう、何事かと、目を丸くしておどおどするのですね。
何しろ、味も匂いも、お世辞にも良いものではございませんから。
咳き込んだり、あるいは吐き出したりすることもございます。
しかし、そこで短気を起こしてはいけません。
アリスに、男が射精をするのは、大変気持ちの良い証拠であると、そう教えてやるのです。
アリスにとって、主人の喜びは、自らの喜びと同じでございます。
射精が喜びの証拠であると理解すれば、自分から進んで主人の射精を促そうと、懸命に口を使うようになります。
初めの頃はぎこちなかった舌の動きも、少しずつ上達し、ねっとりと絡みつくような極上のフェラチオを行えるようになってまいります。
精液も、それが主人の喜びの結晶であると分かれば、喜んで味わうようになります。
自分が主人を快楽に導いたということを、噛み締めておるのでしょうな。恍惚としながら、ピンク色の舌に白い粘液を絡ませ、夢見心地の様子でございます。
もちろん、見事に飲み干せたのならば、褒めてやることを忘れてはいけません。
そのうち、口内だけでなく、顔や躯にかけられた精液も、自分から舐め取るようになってまいります。
床にこぼれた精液さえ、目を潤ませて舐める姿などは、実に微笑ましいものでございますよ。
うけけ。
調教は、技術だけでなく、仕草や態度にも及びます。
モンスターといえど、羞恥心はございます。
乳房や、女性器などを見せるよう命ずれば、顔を朱に染めて抗います。
そこでも重要なのは、こちらの喜びを相手に知らせてやることでございます。
アリスが肌を晒したのならば、それによってこちらが嬉しいのだと、そう教えてやるのです。
口腔性交の調教が終わっているのでしたら、裸に剥いたアリスを見つめながら、自慰などで射精するところを見せてやるのも方法でしょう。
アリスは既に、射精が主人の喜びの証だと知っているのですからね。
自分が裸体を晒すことにより、主人が興奮しているのだと分かれば、やがてアリスも、見られることに喜びを感じるようになってまいります。
自らメイド服のスカートを両手でめくり上げ、下着をつけていない下半身を主人の絡みつくような視線に晒しながら、触れられもしないのに徐々に息を荒げ足の間を濡らしてゆく、そういった淫乱な奴隷へと変貌してゆくのです。
しかし、ここらが少し難しいところでございましてね。
お客様の好みによって、加減が必要なのでございます。
といいますのも、人によって、完全な露出狂が好きな方もいらっしゃれば、恥じらいがなければ興奮しないと、そういう方もいらっしゃるのですよ。
この間のお客様は、後者の方でしてね。
そういった時は、見られることに喜びを感じながらも、羞恥の心を忘れないよう、いくらか工夫した躾をしなければなりません。
具体的には、自分の今していることが、どれだけ下劣な行為であるかを、きっちりとアリスに覚えさせるのです。
視姦されて股間を濡らすなど、犬畜生にも劣る最低の変態のすることだと、そう教え込むのですね。
そうすることで、アリスは、興奮と倫理観の狭間で揺れ動きながら、絶妙の表情を浮かべるようになります。
快楽に染まってゆく自らを恥じながら、しかし肉の疼きは抑えきれず、やや伏せた目端に涙を溜めて、頬を朱色に染めつつ身を悶えさせる、そのような具合になっていくのです。
このあたりのさじ加減はなかなか微妙なのでございますが、先日のお客様には、大層ご満足いただけたようでしてな。
最後に、今日からこちらの方がお前の新しい主人だと、そう教え込んで、調教したアリスをお返し致しましたところ、実に良い具合だと、後日そのようにお手紙を頂きました。
ええ。
それはもう、お客様の喜びの声を聞くことが、わたくしにとっては一番嬉しいことでございますから。
安らぎがなければ人は幸せにはなれないと、先ほど申し上げましたが、わたくしの仕事は、その安らぎをご提供するためのものであると、そのように思っておるのですよ。
ふむ。
他の話も聞いてみたいと、そうおっしゃるのですか。
では、お茶のお替りをご用意いたしましょう。
え?
いやいや、そうおっしゃらずに。
おもてなしもなく、ただお話を聞かせるばかりでは、こちらとしても恐縮でございますからな。
そうですね。では、今度は、ジルタスを調教した時のことなどお話いたしましょうか。
これは先ほどのアリスとは違って、なかなか歯ごたえのある仕事でございましたよ。
何しろ、元はといえば、グラストヘイム監獄の女王として君臨していたモンスターですからな。
非常に誇り高い性格をしておるのです。
このジルタスは、知己のブローカーから持ち込まれた商品だったのですが、いやなかなか、最初はこちらの言うことすらろくに聞かないといった、そういう状況でございました。
囚われの身となっても、まだ女王気分が抜けていないのですね。
どうやら向こうは、こちらと対等か、あるいは自分の方が目上であると、そのように思っているらしいのです。
ですから、まずは、ジルタスのプライドを壊すところから始めました。
モンスターであっても、他人に排泄行為を見られるというのは、非常に屈辱的なことでございます。そこは、人間と変わることはございません。
それを利用いたしました。
ジルタスにたっぷりと水分を取らせ、その上で、手足を鎖で繋ぎ、ベッドの上に張り付けにしておいたのです。
ええ。こう、うつ伏せに。
そうしておいて、ジルタスの服を剥ぎ取り、躯を愛撫していきます。
それはもう、初めのうちは、もの凄い勢いで抵抗してまいりました。乳房を抱えるように揉みほぐし、肉の割れ目に舌を這わせ、陰核をどれだけつねろうとも、甘い呻きの一つさえ洩らそうとはいたしません。
人間の愛撫に快感を覚えるなど、高位魔族としてのプライドが許さないのですね。強烈な意思の力で、湧き上がる肉欲のわななきを押さえつけているのです。
しかし、そのジルタスの様子が、少しずつ変化していきます。
せり上がってくる尿意が、ジルタスの意思の力を、切り崩していくのですよ。
初めのうちは、全ての意識を快楽を押さえつける方に振り向けられますが、尿意が膨らんでくるにつれ、意識の多くをそちらに向けざるを得なくなってくるのです。
その変化は、ジルタスの口調にも現れてまいります。
最初は、鎖を解け、と、このように命令口調だったものが、やがて、鎖を外してください、と、こう、哀願するような口調へと変わってゆくのです。
その頃にはもう、湧き上がる快感を押さえつけておくことができず、ジルタスの陰部は、送り込まれる快感に熱く潤み、乳首もクリトリスも、充血し、はちきれんばかりに膨らんでおります。
喘ぐように開閉する口元からは、ただひたすらにトイレに行かせて欲しいと哀願する声に混じって、肉欲の疼きが甘い吐息となって洩れ出してまいります。
あれだけ激しく暴れていた躯も、もはや尿道口を締めるので精一杯なのでしょう、見違えるように大人しくなり、小さくぷるぷると震えております。
こうなると、あの高飛車だったジルタスも、まあ可愛いらしいものでございますよ。
そうしておいて、後ろから、ジルタスを犯しました。
それも、普通の性交ではなく、肛門性交――つまり、アナルセックスをしたのですよ。
ええ。
できるだけ、ジルタスに屈辱感を与えるように、そうした異常なやり方で、犯したのでございます。
こう、ジルタスの尻を高く持ち上げ、たっぷりとぬるみを絡ませた肉棒の先端を菊門に押し当て、ゆっくりと中に沈みこませていきます。
もちろん、いくら充分に濡らしていたとはいえ、最初は痛がりました。
とはいえ、わたくしもこれで糊口を凌いでおる身ですからな。どのようにすれば、肉体から快楽を引き出せるかは、よおく知り尽くしておるつもりです。
苦痛の呻きは、すぐに甘い喘ぎへと変わりました。
アヌスをめくりあげながら出入りする男根に、ジルタスの躯は色っぽく悶え、仰け反らせた背筋をぞくりと震わせ、口元からは、唾液と共に、愉悦が声となって洩れ出してまいりました。
ぱんぱんに膨張した膀胱は、もはや限界が近いのでしょう。あれだけ誇り高かったジルタスは、まるで子供のように泣き喚き、哀願と快楽とを交互に叫びつづけております。
まるで吸い付くようにヒクヒクと締めてくるアヌスを存分に犯しながら、わたくしはジルタスの女陰にも指を這わせ、たっぷりと濡れたそこに指を突き入れ、膨らんだクリトリスを無造作につねり上げました。
たまらず、ジルタスの躯が大きくびくんと跳ね、懸命に閉じていた尿道口から、勢いよく黄金水がほとばしり出しました。
放尿というのは、あれで一つの快感を伴います。特に、限界まで我慢していた後ならなおさらのことです。それが、僅かに最後まで残っていたジルタスのプライドを完全に壊し去り、あられもない叫び声と共に、ジルタスは激しく全身を震わせて、快楽の頂きへと達しました。
同時に、わたくしはアヌスから男根を抜き取り、ベッドに倒れ伏したジルタスの髪を掴みあげ、激しいオルガズムに痴呆のようになったその顔に、亀頭の先を擦りつけるようにしながら、たっぷりと精液を振りかけてやりました。
それからのジルタスは、別人のように従順になっていきました。
高位魔族として、数多の部下を従えていた女王は、今や、蔑んでいたはずの人間に尻穴を犯され、顔中に精液を塗りたくられ、自身もベッドの上で放尿しながら絶頂に達してしまった、畜生以下の存在になったのです。
そうして、ジルタスのプライドを完全に打ち砕いてから、今度は、新たな価値観を植え付けていきます。
己の存在意義を見失ったジルタスに、肉奴隷として男に奉仕して生きることの喜びを、教え込んでゆくのです。
水の入ったコップを、一度空っぽにして、また別の液体で満たすようなものだと、そう考えていただけばよいでしょうか。
そうやって仕込まれたジルタスは、非常にご好評をいただきましてね。実によい値で売れてゆきましたよ。
うけけ。
ああ、そうだ。
先ほどから、女性型のモンスターの話ばかりしてまいりましたが、わたくしの所においでになるお客様は、何も、男性ばかりではございません。
ええ、そうです。
女性のお客様も、お見えになることがあるのですよ。
そういったお客様は、もちろん、ボンゴンや、インキュバスといった、男性型のモンスターをお買い求めになる場合も多くございますが、時には、少し変わったモンスターをお求めになるお客様もいらっしゃいます。
そうです。
わたくしは、別に女性型モンスターに限らず、あらゆるモンスターを、調教することがあるのですよ。
あらゆるお客様の需要にお応えすることが、わたくしの生きがいでございますからな。
そちらの話もお聞きになりますか?
ええ、分かりました。
その前に、少し腹が空いてはおりませんか。
はい。
大丈夫ですよ。すぐにご用意いたしますので。
なに、簡単なもので申し訳ありませんが、是非お召し上がりください。
田舎の食事など、都会育ちの方には、どうにも味気ないと思われるかもしれませんが、そこはご容赦ください。
ええと、では、何の話でしたかな。
ああ、そうだ。
女性のお客様についてでしたね。
ふむ。
そうだ、あのお客様のことなど、お話ししましょうか。
一月ほど前にお越しになったお客様なのですがね。
ええ、はい。
女性のお客様でございます。
かなり独特なお客様でしたので、よく覚えておるのですよ。
なんといいますか、そのお客様は、ご自身がかなり好色な方でございましてね。
普通のセックスでは、もはや満足がいかなくなったと、こうおっしゃられるわけです。
そこで、わたくしは、これなどいかがでしょうかと、調教しておいたヒドラをその方に勧めました。
こういった需要もあるのではないかと、育てていたものなのですが、なかなかそのようなお客様に巡り合うことがなく、ずっとお蔵入りだったものなのですよ。
するとお客様は、まず一度試してみたい、それから買うかどうか決めると、そうおっしゃったのです。
別室にご案内してから、わたくしがヒドラとお客様をそこに残して退室しようとしますと、そのお客様は、そのままここにいて見ていて欲しいと、そうおっしゃいました。
なかなか、筋金入りの淫乱でしたようで、他人の目があったほうが燃えると、そういうわけらしいのです。
見た感じでは、眼鏡が知的な印象の、落ち着いた女性といった風でしたが、いやはや、人は見かけによらないものでございますなあ。
うけけ。
それで、わたくしは部屋の隅に座りながら、じっとその方とヒドラとの絡みを見物しておりました。
もちろん、そのヒドラはわたくしが仕込んだものでございますから、見ていなくとも、どのようなことが行われたかは想像できるのでございますが、それでもやはり、わたくしの用意した商品が実際どのようにお客様にご使用いただけているかというのは、わたくしも興味があったのでございます。
お客様が、わたくしの教えたキイワードを口にしますと、ヒドラの触手がするすると伸び、お客様の躯に絡みついていきました。
手首や、足首、そして胴にも触手が絡みつき、その女性は身動きを封じられていきました。そうしておいて、他の触手が、スカートの下や、襟周りや、袖口から、次々と服の中へと侵入していきます。
女性の躯がびくんと震えました。
どうやら、触手の先端が、足の付け根に達したようでした。
スカートのその部分が、内側で蠢く触手によって、ざわざわと波打つように動いておりました。
同時に、胸や、顔にも、触手が次々と這い回り、見る間に女性の顔色が朱に染まってゆきます。
女体のどこをどう責めればよいか、みっちりと教え込んだヒドラですからな。
探るように、乳房や、太もも、わきの下、首筋と、優しく、時に強く、たっぷりと撫で回してゆきます。
その女性は、手足を触手に縛り上げられ、宙に浮かび上がるような格好になりました。
両足は閉じられぬようM字に開かれ、付け根の部分に、たくさんの触手が群がっております。
独特のぬめりを帯びた触手の先端が、身悶えするようにして敏感な肉の芽を擦りあげ、中央の肉穴に潜り込んでいきます。
たまらず喘ぎ声を洩らしたその口にも、別の触手が、束となって入り込み、舌や、喉にまで粘液を刷り込むかのように、ぬらぬらとうねっていきます。
吊り上げられた女性の足先は、絶え間なく送り込まれる快楽にびくびくと震え、めくり上げられたスカートの中からは、触手の束を咥え込んで広がった女陰が、愛液ともヒドラの放った粘液とも分からぬもので濡れ光っておりました。
そこに潜り込みそこねた触手が、どうにか身を沈める場所はないものかと、女性の腰周りを、うねうねと這いまわります。
やがて触手は女性の臀部へと回りこみ、そこにもう一つの穴を見つけました。何度か先端で小突くようにして、たっぷりと粘液を菊門に垂らし込み、するりとその中に身を沈ませます。
前後の穴から入り込んだ無数の触手が、それぞれ独立した動きで、躯の中をかき回しはじめました。触手の先端は、絶え間なく粘液を放ち続け、膣内も、アナルも、口内も、まるで無数の男どもに輪姦されたかのように、どろどろの粘液で満たされてゆきます。
触手の束に口腔を犯されていた女性の顔は、我が身を駆け巡る快感に恍惚となり、粘液に白く汚れた眼鏡の向こうから覗く眼差しは、夢見るような目つきになっておりました。
しかし、口一杯に頬張った触手は、喘ぎ声を洩らすことも許しません。その分、行き場のなくなった愉悦が、女性の躯の中で何度も反響し、強め合っていくかのようでございました。
放たれた粘液が、口元から唾液と共に顎を伝い落ちてゆきます。くぐもった声が徐々に高くなっていき、女性の絶頂が近いことを知らせておりました。
縛り上げられていた女性の躯が大きく痙攣し、わたくしの目線ほどの高さに浮かんでいた女陰から、ぷしゃあっと液体が迸りました。
雫が、きらきらと光に輝きながら、部屋の中に飛び散ってゆきます。
しかし、ヒドラはそれでも動きを止めず、女性の躯を飽きることなく責め苛み続けていきました。女性の方も、いつ終わるとも知れぬ快楽の津波に、理性の全てを押し流されてゆくかのように乱れ、悶え続けておりました。
たっぷり二桁以上は絶頂に達し、ようやく女性は触手から解放されました。
ええ、はい。
もちろん、その女性は、そのヒドラを買ってゆかれましたよ。
あのご様子ですと、毎晩のように、触手と戯れていらっしゃるかもしれません。
そうですね、ちょうど今ごろの時間など、ひとり火照った躯を慰めるには良い時間帯ではないでしょうか。
おや。
気付いておりませんでしたか?
そうです。窓の方を御覧なさい。もう日はとっくに沈んでおりますよ。
ええ。随分と長く話し込んでしまいましたからな。
なんと。
もう帰られるのですか。
そうですか。
おや、どうなさいました?
お帰りになられるのではございませんでしたか。
なのに、どうして、そうやって仰向けに寝転がって、口をぱくぱくさせているのですか。
ははあ。さては、躯が痺れて動かないのですね。
ええ。
分かりますよ。
何しろ、あなたに痺れ薬を飲ませたのは、このわたくしでございますからな。
なかなか効き目が現れないものですから、もしかしたら、薬を間違えたのではないかと、そう心配しておったところなのでございます。
いや、しかし、ちゃんと効いてきたようで、ほっと胸を撫で下ろしておるのですよ。
そうそう、わたくしは、調教師というのを生業にしておるのですが、これは、別に、モンスターに限ったことではないのですよ。
ええ。
その、まさか、でございます。
人間の商品だって、ちゃあんと取り扱っておるのです。
ご安心ください。わたくしこう見えても、腕は確かでございますから。
あなたも、立派な商品に仕上げて見せますよ。
高い値で売れると良いですなあ。
うけけ。