Acolyte the Cute

  1/


 ボクの、その人に対する第一印象は『なんてカッコイイ人なんだろう』でした。
 ボクが小柄だってこともありますけど、見上げるほどの長身に、すらりと伸びた長い手足。
 目の上にかかるくらいに伸ばした、クセのないさらさらの金髪。その下に覗く凛々しげな細い眉と、涼しげなブルーの瞳。
 きめの細かい白い肌は、まるで磨き上げられた大理石のよう。
 すっと通った鼻筋と、強い意志を感じさせる、真一文字に結ばれた薄桃色の唇。
 ――正直に言えば、ボクはその人を一目見た時から、憧れ以上のものを抱いていたのでした。
 ボクがその人と出会ったのは、プロンテラの南口を出たところの、草原の中でした。
 街の外とはいうものの、ここはいつも大勢の人でごった返しています。
 というのも、この一帯はいわゆる『臨公広場』というやつで、固定のパーティーを持たない人たちが、一時的な仲間を募るために集まる場所なんです。
 その時も、周りは臨時のパーティーを求める人たちが大勢いました。
 かくいうボクも、その中の一人だったわけです。
 ボクは『アコライト』っていう職業に就いています。
 このアコライトっていうのは、治癒法術や強化法術を駆使して、傷ついた人たちを治療したり、仲間の力を高めたりするのがお仕事なんですが、様々な術が使える代わりに、自分独りで魔物たちを倒すのには、ちょっと向いていないんです。
 そんなアコライトの中にも、独りで戦えるよう腕力を鍛え、武術の研鑽に励む人もいます。でもボクは法術の勉強ばっかりしてたので、戦闘のほうはまるでからっきしでした。
 それでもボクは上位職業である『プリースト』を目指して、一生懸命修行に励んでいたんですけれど、やっぱり非力さが災いして、どうにも行き詰ってしまいました。
 それで、一緒に戦ってくれる仲間を探しに、ここにやって来たのです。
「わぁ……」
 初めての臨時広場で、ボクは思わず圧倒されてしまいました。
 見渡す限りの、たくさんの冒険者たち。
「この人たち、みんなパーティー募集の人なのかなぁ……」
 ボクは恐る恐る周りを見渡し、そう呟きました。
 どの人もすごく強そうで、なんだか、ボク一人が周りから浮いちゃってるような気がしてしまいます。
 パーティー募集の看板を見ても、グラストヘイム行きだとか、ニブルヘイムだとか、ボクなんかが行けるような狩場のものは、一つもありません。
 やっぱり、ボクみたいなのが臨時なんて、まだ早かったのかなぁ……。
「――はぁ。このまま帰っちゃおうかなぁ」
 と、思わず溜め息が出てしまいます。
 でも、せっかく勇気を出してここまで来たのに、何もしないで帰ったりしたら、また司祭さまに怒られちゃいそうだし……。
 はぅう、どうしたらいいのかなぁ。
 うんと悩んだ末に、ボクは人ごみの中心を避け、広場の端っこにちょこんと座って、メンバーを募集することにしました。
 その日は、とても良いお天気でした。
 見上げれば、鮮やかなブルーの空がどこまでも広がっています。
 その中を、ふわふわの綿菓子みたいな小さな雲のかたまりが、ゆっくりと風に乗って流れていくのが見えました。
 初夏の日差しがぽかぽかと心地よい陽気を地上に投げかけ、草原を渡る風が瑞々しい草花の息吹を運んできます。
 それがあんまりにも気持ちよかったのと、なかなか仲間が見つからないのもあって、ボクはついウトウトとしてしまいました。
 そうして、目を閉じて、頬にあたる陽射しの暖かさを感じながら、ふわりと夢の中に落ちていこうとした時のことです――


  2/


「おい、お前」
「――ふにゃ」
「ふにゃ、じゃねぇっての。ホラ、起きろって」
 コツンと額を小突かれて、ボクはゆっくりと顔を上げました。
 ぼんやりと開いた目に飛び込んできたのは、視界いっぱいに広がるほどに近づけられた、見知らぬ人の顔でした。
「え……わわわぁっ!?」
 ボクは一瞬で一メートルは後ずさりし、慌てて姿勢を正しました。
「お、起きたか。おはよう。お昼寝は気持ちよかったかい?」
 声の主は、そう言ってニヤリと微笑みました。
 ボクは咄嗟のことで声も出せず、こくこくと頷いただけでした。びっくりして心臓がばくばくと鳴っています。
「そんなに驚かなくてもいいじゃねぇか。――よっと」
 そう言いながら、その人はボクと向かい合うようにして草の上に腰を下ろしました。
「あんた、アコライトだろ? 臨時パーティー探しかい?」
「は、はいっ」
 ボクはピンと背筋を伸ばし、膝の上で両手を握り締めたままこくんと頷きました。初対面の人と話す時は、視線がついつい下に落ちてしまいます。人と話す時は、ちゃんとその人の目を見ながら話すようにって、いつも司祭さまに言われているのだけれど。
 その人は胡坐をかいた膝の上に右ひじをつき、頬を右手のこぶしで支えながら、
「じゃあ何でこんな隅っこにいるんだ? もっと人の多いところに行ったほうが、仲間も見つけやすいだろうに」
「え……、そう、ですけど、でも」
「でも?」
「その、ボクみたいな未熟者が、あの中にいていいのかなって思って……」
 ボクがそう言うと、目の前の人は得心したように頷き、
「ははぁ、あんた臨時は初めてかい?」
「は、はい。というか、臨時以前に、パーティーを組んだこともなくって……」
「なるほどね。それで、こんな隅っこでぼんやりしてたってわけか」
 ボクがこくんと頷くと、その人は、
「ま、気持ちは分からなくもないけどよ。怖がってばかりじゃ何も始まらないぜ? 誰だって最初から熟練者ってわけじゃねぇんだ。もっと積極的にならなきゃ、日向ぼっこだけで一日が終わっちまうぞ?」
 諭すようにそう言って、ボクの目をじっと見つめました。
 なんだか恥ずかしくなったボクは、その人と目線を合わせないようにしながら、
「は……はい、分かってはいるんですけど……」
 小さな声でポツリとそう答え、そのまま俯いてしまいました。
 次の瞬間、ボクの肩がいきなり叩かれ、ボクは思わず飛び上がりそうなくらいびっくりしてしまいました。
 顔を上げると、ボクのすぐ目の前に、その人の顔がありました。いたずらっぽい光を浮かべた瞳が、ボクの目を覗き込んでいます。ボクは一瞬、その青い瞳に吸い込まれてしまいそうな気がしました。
 その人は、ボクの両肩に手を置いたまま言いました。
「オーケー、じゃあ俺と組まないか?」
「え……、い、いいんですか?」
「いいも何も、こっちが組みたいって言ってるんだよ。なぁに、別に支援がヘタクソでも怒りゃしねぇって。俺が色々教えてやるからよ」
「で、でもっ」
 ボクがおろおろしていると、その人は両手でボクの体を前後に揺さぶり、まるで駄々っ子のように、
「なー、いいじゃんかよ。組もうぜぇ」
 口を尖らせて、そう繰り返しました。
 なんて強引な人なんだろう、とボクは内心、少し呆れてしまいました。
 でも、不思議と嫌な気持ちはしませんでした。この人の真っ直ぐな眼差しに、暖かな包容力のようなものを感じていたからかもしれません。
 それで、ボクはとうとう断りきれず、
「はい……分かりました」
 そう答えた途端、その人の顔に、ぱぁっと笑顔が広がりました。
「ホントか!?」
「え、ええ……。ホント、です」
「そっかぁ! 俺、クロフォードってんだ。よろしくな!」
 クロフォードと名乗ったその人は、ボクの手をぎゅっと握りしめ、ぶんぶんと振り回しました。意外に細い指先に、何故かボクの胸がどきんと鳴りました。
「あ、はい、ボクはエリファルド=サイズモアっていいます」
 その手をおずおずと握り返しながら、ボクも自分の名前を名乗りました。
「エリファルドか。うーん、ちょっと長えな。エリって呼んでいいかい?」
「え……はい、構いませんけど」
「オーケー、じゃあ改めてよろしくな、エリ」
 そうしてボクはその人と、初めてのペア狩りに出かけたのでした。



  3/


「はい、今回の稼ぎはこれだけです」
「ひのふのみっと……、おお、案外稼げてるじゃねぇか」
 街に戻ったボクたちは、拾い集めてきた収集品を商人に買い取ってもらって、宿屋でその売上金を分配していました。
 クロフォードさんはかなり実戦慣れした人らしく、お金はもちろん、経験値もずいぶんたくさん稼げました。
 ボクはといえば、初めての支援におろおろと戸惑ってばかりでしたけど、クロフォードさんの丁寧なアドバイスもあって、なんとか無事に狩りを終えることができました。
 この調子なら、憧れのプリーストになれる日も近いかもしれません。
 そう思うと、ついついウキウキした気分になっちゃいます。
「……あ、そうだ。オリデオコンとか青ポーションはどうしますか?」
 ボクは売らずに残しておいたアイテム類を机の上に並べながら、クロフォードさんに訊ねました。
 こういった特別なアイテムは、収集品商人に売却してしまうより、自分で使ったり、欲しがってる人に売ってあげた方がお得なので、残しておいたのです。
「ん? ――ああ、いいよ。全部お前にやるよ」
 クロフォードさんは椅子の上であぐらをかき、背もたれに体を預けるようにして、ゆらゆらと椅子を揺らしながら、そう答えました。
「ええっ!? い、いいんですか?」
「ああ。金の方も俺はいらねぇからさ。みんな持っていきな」
「で、でもっ……」
「なんだ、必要ないのか?」
 クロフォードさんは机の上に体を乗り出すようにして、ボクの顔を覗き込みました。突然間近に寄せられた顔に、ボクは思わずドキッとしてしまいました。
「そ、そういうわけじゃ……」
「ならいいじゃねぇか」
「でも、これは二人で稼いだものですし、ボク一人がもらうわけには……」
 ボクがそう言うと、
「なんだ、そういうことなら気にすんなよ。ただでやろうって訳じゃねえし」
 クロフォードさんは、ニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべました。
「一つ、条件がある」
「え、条件……ですか?」
 ボクが困惑したような顔をしていると、クロフォードさんはふいに真剣な顔つきになり、
「エリ、お前さ。――俺のものにならないか?」
 一瞬何を言われたのか分からず、ボクは目を点にしてしまいました。
 エリってのはエリファルドの略なわけでつまりそれはボクのことで俺のものというのはこの場合俺というのはクロフォードさんのことなので要するにボクがクロフォードさんのものになるってことに――
「えぇええっ!?」
 ようやく意味の呑み込めたボクは、思わず大きな声をあげてしまいました。
「く、クロフォードさん、それってどういう……」
 どういう意味ですか、と最後まで言い終える前に、
「こういう意味だよ」
 ふわりといい匂いがボクの鼻をくすぐり、柔らかな感触が唇に触れました。
「ひゃっ……わわわぁああっ!?」
 ボクは素っ頓狂な声をあげながら、仰け反るようにして顔を離しました。勢い余って椅子から転げ落ち、お尻を思い切り床にぶつけちゃったけど、パニックになったボクの頭はその痛みにさえ気が付きませんでした。
「おいおい、何もそんなに驚かなくたっていいだろうに。大丈夫か?」
 クロフォードさんは椅子から立ち上がり、心配そうにボクに歩み寄りってきました。
 ボクは自分の顔がかぁあっと真っ赤になっていくのを感じていました。
「と、突然なんてことするんですかぁっ!」
「何って、キスだけど?」
 けろりとした顔で、クロフォードさんが言いました。
「き、ききき、キスッ……!」
 言いながら、さらに顔が赤くなっていくのが分かりました。
 ああ神様、なんということでしょう。ボクの初めてのキスが、こんな形で奪われてしまうことになるなんて。
「そんな、突然にっ……そ、それに、男同士なのにキスなんて、おかしいですよっ!」
 ボクがそう言うと、クロフォードさんは悪戯っぽく笑いながら、
「ははぁ、やっぱりな。黙ってたほうが面白いと思ってあえて言わないでおいたんだけど、ホントに気付いてなかったんだな」
「え……?」
 気付いてなかったって、一体何のことだろう?
 ボクがキョトンとしていると、クロフォードさんは纏っていた騎士鎧を脱ぎだしました。続いて、上着のボタンを一つ一つ外していき、
「――ほら」
 と、尻もちをついたままのボクに覆い被さるようにして、上着をはだけました。
「え……えぇえええっ!?」
 ボクはさっきよりもさらに大きな声をあげてしまいました。
 だって、ボクの目の前に晒されたクロフォードさんの胸には、男の人にはないはずの、二つの膨らみがあったのです。
「こ、これって、その、あのっ……」
「フルネームを言ってなかったな。俺はエレナ。エレナ=クロフォード。れっきとした女さ」


  4/


 クロフォードさんはそう言いながら、混乱するボクをそっと押し倒しました。
「ちょ、ちょっと、待ってくださいっ……ひぁっ!?」
 びくん、とボクの体に電流が走りました。
 クロフォードさんの左手が、ズボンの上からボクの股間をぎゅっと握り締めていたのです。
「あ……やめっ……ふぁっ」
 ボクはクロフォードさんの下から逃げ出そうとしましたけど、強弱をつけて揉み込んでくる手のひらに、どんどんと体の力が抜けていきます。
「ふふっ。女の子みたいな顔してるけど、ここはちゃんと男なんだな。俺の手の中で、エリのアレが大きくなってるのが分かるぜ。気持ちいいんだろ?」
 囁きと共に、クロフォードさんの吐息がふぅっと耳元をくすぐりました。恥ずかしいのと気持ちいいのがぐるぐるとボクの中で渦を巻き、頭の中が真っ白になっていきます。
「やっ……違っ、クロフォードさんっ、離し……あんっ!」
「ダーメ、エレナって呼べよ」
 言いながら、クロフォード――じゃなかった、エレナさんの手が、さらに強くボクのものを握りました。
「ひぅっ……! え、エレナさぁんっ……あぁああっ!」
 ぞくんっ、と激しい震えがボクの体を駆け抜けました。体中がびくびくと痙攣し、パンツの中に熱い温度が広がっていくのがわかりました。
「なんだ、エリ。これだけでイッちゃったのか? 敏感なんだな」
 くすくすと笑いながら、エレナさんはぐったりしたボクのズボンを下ろしていきました。
「あーあ。下着の中べとべとにしちゃって」
 パンツも脱がされ、自分自身の放ったもので汚れたボクの股間が、エレナさんの目の前に晒されました。
「お。まだムケてないんだな。可愛いちんちん」
「やだっ……見ない……で……」
 ボクは恥ずかしさにぷるぷると体を震わせながら、はぁはぁと喘ぐように荒い呼吸を繰り返していました。
「俺さ、レズだから男には興味ねえんだけど、エリを一目見た時にビビッと来たんだよ。コイツは絶対モノにしてやるって思った。お前さ、自分で気付いてるかどうか知らないけど、そこいらの女よりもずっと女の子してるぜ」
 エレナさんがボクのおちんちんを摘み上げ、先端を包んだ皮をきゅっと下に引き摺り下ろしていきます。
「あ……や、やめっ……あんっ!」
 ぬりゅんっ、という感触と共に、ピンク色の亀頭が露わになりました。
「綺麗な色してるな、エリのちんちん」
「やぁっ……恥ずかし……ひゃんっ!」
 まだ刺激に慣れていないそこにふぅっと息を吹きかけられ、ボクは思わず肩をすくませました。
「そんな可愛い声出されちゃ、こっちまでゾクゾクしちまうぜ。ほら、エリ。もっと感じろよ」
 エレナさんの手がするりとお尻の下に潜り込み、ザーメンでぬるぬるになった指先が、つぷんとボクの中に潜り込んできました。
「ふぁぁっ!?」
 お尻の穴がくにゅっと広がり、異物感がボクの中に侵入してくるのが分かりました。ボクは思わず体を反らせ、めいっぱい開いた口から溜め息のような声を洩らしてしましました。
「あ……はぁんっ! ふぁぁぅんっ……!」
 じんわりと甘い痺れのようなものがお尻の穴から広がり、ボクの中を満たしていきます。
 ボクは目をとろんと潤ませて、全身を駆け巡る快感にふるふると体を震わせました。
「ふふっ。エリのちんちん、また膨らんできたぜ? 尻穴ヒクヒクさせて、そんなに気持ちいいのか?」
 クチュクチュと音を立て、エレナさんは容赦なくボクのお尻をかきまわしていきます。
「はぁあんっ……そ、そんなことっ……ない……」
「ウソつくなよ。トロけそうな顔しちゃってさ」
「あ……ぅ……、んんっ!」
 体がボクの意思とは無関係にビクビクと悶え、酸欠の金魚のようにぱくぱくと開いた口から熱い溜め息が洩れました。
 腰の深いところから湧き上がってくる甘い痺れが、もやのようにボクの頭の中に広がっていきます。


  5/


「ほら、自分が今なにされてるか言ってみろよ。俺によーく分かるようにさ」
 エレナさんの指先が、お尻の内側からおちんちんの根元をつぅっと撫でました。
「ふぁぁっ……! そのぉっ……お尻犯されて……感じてますぅっ……!」
 恥ずかしい台詞を言わされながら、ボクは自分がどんどんエッチになっていくのを感じていました。触れられてもいないのに、ボクのペニスは痛いほど勃起して、天を向いてびくんびくんと震えています。
 指を咥え込んだお尻から、気持ちいいのが次から次へと湧き上がってきて、ボクのおちんちんの中に流れ込んでくるみたいでした。
 ボクはたまらず手を伸ばし、ペニスを握ろうとしました。その手を、エレナさんが遮ります。
「おっと、自分でしごいちゃダメだぜ」
 エレナさんは意地悪そうな笑みを浮かべて、ボクの顔を見下ろしています。
「そん……なぁっ、おちんちん破裂しそうなのぉ……お願い、イカせてぇっ……!」
「じゃあエリ、俺の女になるか?」
「うん、なるよっ……ボク、エレナさんの女になるからぁっ……! だから、イカせてくださいっ……!」
 ボクは目じりに涙を浮かべて、哀願するように叫びました。
「オーケー。じゃあイカせてやるよ」
 にゅるん、と指を引き抜いて、エレナさんは自分の下着を脱ぎ捨てました。膝立ちになって、ボクの上に跨ります。初めて見る女の人のあそこ。そこは既に、熱く潤みを帯びていました。
「は……ぁ、男のモノ入れるなんて大嫌いだけどよ、エリは特別。俺の中でイカせてやるよ」
 指先で肉襞を左右に開いて、中心におちんちんの先端を押し当てながら、エレナさんはゆっくりと腰を落としていきました。
「ふぁあっ……あぁあっ!」
 包皮の剥かれたボクのおちんちんが、暖かい温度に包まれていきます。今までに感じたことのない快感がゾクゾクとボクの中を駆け巡って、声となって口から洩れ出しました。
「んっ……入った……」
 ぴったりと腰をあわせ、エレナさんは大きく息を吐き出しました。
「はぁんっ……エレナ……さぁんっ、すごいぃっ……!」
「ふふ……エリ、セックスは初めてか?」
 エレナさんは腰を動かしだしながら、そう訊ねてきました。エレナさんの腰が動くたびに、たくさんの襞がぞわぞわとボクのおちんちんを撫でていきます。
「うんっ、初めて……ですっ、ひぁっ……! 気持ちいいのぉっ……!」
「はぁ……ん、可愛いぜ、エリ。もっとエリの感じてるとこ見せてくれよ」
「はいっ、見て……くださいっ、エリのやらしい姿見てぇっ……!」
 ボクは恍惚とした表情を浮かべながら、開いた口元から涎を垂れ流し、女の子のように身悶えしながら喘ぎ声をあげました。
 ボクの上で、跳ねるように動くエレナさんのしなやかな体。小ぶりなおっぱいが目の前で揺れています。おちんちんを包んだ暖かな感触と、鼻をくすぐるいい匂い。
「んぁっ……エリ、エリっ……!」
 快感で真っ白に塗りつぶされていく頭の中、切なげにボクの名前を叫ぶエレナさんがすごく愛おしく思えて、ボクもただひたすらにエレナさんの名前を呼び続けました。
「エレナさんっ、エレナさぁんっ……!」
「は……ぁ、エリっ……俺、イクっ……エリも、俺の中で……」
 エレナさんが手を後ろに回し、指先を再びボクのお尻の中にぬぷっと沈み込ませました。
「ひぁああっ!? ふぁっ……あぁああんっ!」
 稲妻のような快感が、お尻からおちんちんの先端へと駆け抜け、ボクは思い切りエレナさんの中に射精していました。
「あぁあっ……は……あぁあああっ!」
 同時に、エレナさんもぎゅぅっと体を強張らせ、仰け反るようにして全身をぶるるっと震わせました。
「ふぁぁんっ……エレナ……さぁん……あぁあ……!」
 緩くお尻を弄り続ける指と、まるで体の芯から搾り取られるような肉のざわめきに、ボクはびくびくと体を痙攣させながら、エレナさんの中に最後の一滴まで残らず精液を注ぎ込んだのでした。


  6/


 その日の夜は、そのまま二人で同じベッドに眠ることになりました。体についた汚れは拭き取ったけど、どちらも裸のままです。エレナさんの右腕がボクの肩に回され、触れ合う体温が安らかなまどろみを運んできます。
「――俺さ、ずっと、自分は性別を間違えて生まれてきたんじゃないかって思ってたんだ」
 ふと、天井を見上げたまま、エレナさんが呟きました。
「物心ついた時から、男よりも女が好きでさ。それで、男のカッコして、色んな女と付き合ってきたし、セックスだっていっぱいした」
 ちくり、とボクの胸が痛みました。その痛みで、ボクはもう自分がエレナさんのことを好きでたまらなくなっていることに気付きました。
「でも、ダメだった。どうしても、長続きしなかった。いくら男のカッコしてても、やっぱ体は女だからさ。どんなに体を重ねても、どこか満たされないものがあるんだろうな。みんなそのうち、俺じゃなくて本当の男の方を選んでいった」
 ボクはじっと黙ったまま、静かに呟くエレナさんの横顔を見つめていました。どこか寂しそうなその表情に、ボクはきゅっと心が締め付けられるような気がしました。
「――でもさ」
 エレナさんが、ボクの方に顔を向けました。
「エリに会えて、嬉しかった。俺と同じ匂いがしたんだ。きっとこいつも、性別を間違えて生まれてきたんだって」
 不意に絡み合った視線に、ボクの心臓がどくんと大きく鼓動を打ちました。
「えっ? そ、そんなことない……と思うんですけど」
「いーや。だってよ、こんな可愛い子、どこ探したっていねぇぜ。それに、忘れたとは言わさねぇぞ」
「な、何のこと?」
「言ったよな、俺の女になるって。俺はハッキリと聞いたぞ」
「う……」
 自分の言った言葉と一緒に、エレナさんに抱かれていた時のことがまざまざと蘇ってきて、ボクは自分の顔がかぁあっと真っ赤になっていくのを感じました。
 そんなボクを、エレナさんはぎゅっと強く抱き寄せました。
「あっ……」
「好きだ、エリ」
 短く、でもはっきりと。エレナさんの言葉がボクの中に柔らかな温度となって染み込んできます。
「ボクも、エレナさんのこと、好き……です」
 精一杯の勇気を振り絞って、ボクは胸の中の想いを口にしました。
「――ありがとう」
 エレナさんは優しく微笑んで、ちゅっとボクの唇にキスしました。
 そのまま、なんだか気恥ずかしくなって、二人とも黙り込んでしまいました。でも、重苦しい沈黙ではありませんでした。何も言わなくても、お互いの心が通じ合っている――そんな気がしました。
「ひぁっ!?」
 無言のひと時は、ボクの素っ頓狂な声で終わりを告げました。
「な、何するんですかぁっ!」
「んー、何って、ナニだけど?」
 エレナさんの左手がボクの足の間に潜り込んで、敏感なところをきゅっと握っていました。
「さ、さっきあれだけしたじゃないですかっ!」
「したくなっちまったんだよ。いいだろ?」
「え……ぅ、で、でもぉっ……」
「イヤか?」
「ぅ……、い、イヤじゃない……です」
 真っ赤になって俯くボクに、エレナさんの顔が嬉しくてたまらないといった風にニヤケていきます。
「あーもう、可愛いなぁエリは。よーし、いっぱいヒィヒィ言わせてやるからよ。覚悟しとけ!」
「え、えええっ!?」
 そうしてボクは、それこそ精根尽き果てるまでエレナさんに抱かれたのでした。