SUPER FU☆Kiiing 清美ちゃん

 結局のところ、男はみんなケダモノなのだ。
 つくづく、そう思う。
 いい女を見れば、やりたいと思う。
 こればっかりは、どうしようもない。
 理屈ではないのだ。
 頭の中でこねくりまわしたロジックで、この女を抱きたいという答えを出しているのではない。
 頭でなければ、どこか。
 ちんちんで、そう思うのである。
 いい女には、ちんちんが反応するのだ。
 いや、世の男性すべてがそうだというのは、ちょっとばかり言葉が過ぎたかもしれない。
 だが。
 少なくとも、このおれは、そうだ。
 おれ自身がそうであるように、おれのちんちんは、実に正直者である。
 そんなおれにとって、アイドルのプロデューサーというのは、なかなかにツラい職業であった。
 なにしろ、まわりは、とびきり可愛い女の子たちばかりなのである。
 しかし、プロデューサーという立場上、事務所の子たちに手を出すのは、ご法度だ。
 もし、そんなことをして、上にバレようもんなら、いろんな意味でクビが飛びかねない。
 そんなわけで、おれは、眩しいくらいに上等な女の子たちに囲まれながら、生き地獄にも等しい、生殺しの日々を過ごしていたのである。
 彼女――冴島清美に出会うまでは。
 初対面の印象は、お互いに、最悪だったと思う。
 なにしろ、あいつは、おれを見るなり、いきなり説教をかましてきたのである。
 今でも、小柄なあいつが、眼鏡越しにおれを睨むように見上げながら、びしっと指を突きつけてきた時のことを、しっかりと覚えている。
「一体なんなんですか、貴方は!」
「はあ? いや、おれは、これから君を担当することになったプロデューサーだけど」
「プロデューサー? ふーむ」
 清美は、そう言って、じろじろとおれを見た。
 そして、なにごとか納得したように、うんうんと頷く。
「やはりアイドル業界、風紀が乱れているようですね! わかりました、私が模範となって、清く正しいアイドルの姿を示さなければ!」
「はああ!?」
 そりゃあ、おれも、自分を折り目正しい真人間だとは思っちゃいない。
 見た目も、中身もまあ、チャラい男だと思われてもしょうがない部分があるのはわかっている。
 とはいえ、プロデューサーとして、それなりにこの業界でやってきて、何人かのアイドルを育ててきた自負がある。
 それを、まだデビューすらしていない小娘に、いきなりダメ出しをされたのだ。
 面白いはずがない。
 カチンと来た。
「ンだよ、何様だっつーの、おめえ」
 反射的にガンをくれたおれに、清美はまったく怯む様子もなく、こう告げた。
「私ですか? 超☆風紀委員、冴島清美です!」
「……はあ?」
「ただの風紀委員じゃないですよ! 超☆風紀委員です! 偉いんです!」
「お、おう」
 自分で偉いとか言っちゃったよ、この子。
 大丈夫なのかな。
 不安でいっぱいになりながら、ともかく、まあ、おれと清美の、二人三脚のアイドル活動がはじまった。
 最初は、小生意気なガキだと思ったよ。
 担当プロデューサーであるおれの指示にも、自分で納得がいかないところがあれば、納得いかないときっぱり言う。
 なんというか、可愛げってモンが足りねえ。
 おれたちは、しょっちゅうぶつかりあった。
 あとで知ったことだが、ひと頃のおれたちのギャーギャー言い合う姿は、事務所の連中にとっちゃ、ちょっとした名物になっていたらしい。
 曰く、夫婦漫才みたいだとか。
 まあ、傍からどう見られていたかはともかく、その当時のおれにとって清美はまだ、自分の担当アイドルという、ただそれだけの存在だった……はずだ。
 はずだ、というのは、おれが、実際には、いつ頃から清美のことを違う目で見るようになっていたのかどうかが、おれ自身にも、よくわからねえからだ。
 プロデュースをしていく中で、わかってきたことがあった。
 清美のことだ。
 最初は、なかなか言うことを聞かない、めんどくせえ小娘だと思っていた。
 けれど、そうじゃねえ。
 言うことに、きちんと一本、筋が通っている。
 可愛げはねえが、根性がある。
 どんなにキツいレッスンだろうが、ハードなスケジュールだろうが、清美はひと言も弱音を吐かなかった。
 おれはいつしか、自分よりひとまわりも年下のこの小娘に、一目を置くようになっていた。
 そんな清美が、一度だけ、涙を見せたことがある。
 清美が、売り出し中のアイドルとして、それなりにお茶の間にも名が広まってきた頃のことだ。
 嫌がらせを受けたのだ。
 やられたのは、衣装だった。
 その日、収録に使うはずだった衣装が、ちょっと楽屋を空けていた隙に、カッターで傷だらけにされていたのである。
 犯人は、まあ、同業他社の連中だろう。
 この業界じゃ、人気の出てきたアイドルへの嫌がらせってのは、それほど珍しいことじゃねえ。
 とはいえ、ここまであからさまなのは、いささか度が過ぎている。
「あー……クソったれが」
 おれは、吐き捨てるようにそう言って、ガリガリと頭をかいた。
 どこの誰だか知らねえが、ナメた真似してくれやがって。
 ぼろぼろにされた自分の衣装を目の前にしながら、それでも清美は、俯かなかった。
「プロデューサー、代わりの衣装はすぐに手配できますよね?」
「ああ、試作品が一着あるはずだ」
「なら、大丈夫ですね」
 そう言った清美の声は、しかし、言葉とは裏腹に、微かに震えていた。
「清美……」
 無理もないことだった。
 得体も知れない誰かから、明確な、しかし無言の悪意を向けられるということ。
 まだ十代も半ばの少女にとって、それはどれだけ恐ろしいことだろう。
「大丈夫、大丈夫です。私は超☆トップアイドルになるんですから」
 自らに言い聞かせるように、清美は言った。
 清美はずっと衣装の方を向いたままで、、決しておれの方を見ようとはしなかった。
 おれに背を向けたまま、清美が眼鏡を外した。
 後ろ姿の清美の肩が、震えていた。
 ああ、そうか。
 ふいに、おれは、理解していた。
 こいつの覚悟を。
 逃げない。
 こいつは、戦っているのだ。
 自分に向けられた悪意や敵意はもちろんだが、なによりも、こいつは今、自分の心と戦っている。
 恐怖心や、折れそうになる気持ちと、真っ向から向かい合って、そして乗り越えようとしている。
 おれは、あらためて、清美を見つめた。
 この、ちいさな体の、どこにそんな……。
 すごい女だ。
「清美」
「きゃっ!?」
 気がつけば、おれは、清美の肩をつかんでいた。
 強引に、おれの方へと、振り向かせる。
「ちょっ、な、なにするんですか、プロデューサー!」
「清美、おれを見ろ」
「何言ってるんですかっ! こんな近くで顔なんか見れませんよ!」
「いいから」
「う……」
 じっと目を見つめる。少し充血していた。泣いていたのだろうか。おれに見えないように。
 バカ野朗。
 おれは、お前のプロデューサーだぞ。
 おれの前で、強がらなくてもいいんだ。
 くそ。
 苛立ちにも似た感情が湧き上がる。
 それは、担当プロデューサーでありながら清美を守ってやれなかった、おれ自身への怒りだった。
「清美、お前は、いい女だ」
「な……何言い出すんですか、いきなりっ!」
「いきなりじゃねえ。わかってたんだ、今まで、お前と一緒にやってきて。けれど、おれの、ケチなプライドが邪魔をして、それを認めたくなかっただけなんだ」
「プロ……デューサー」
「お前は、おれが出会ってきた中で、最高のいい女だ。お前なら、絶対にトップアイドルになれる。だから、おれに、その手助けをさせてくれ」
「……」
「おれが、お前の支えになる。おれがお前を守ってやる。だからもう、独りで泣くな」
「プロデューサー……」
 おれを見つめる清美の顔が、ふいに、くしゃっと崩れた。
 清美が、おれの胸に飛び込んできた。
「プロデューサー、私……わたし……」
 そこから先は、言葉にならなかった。
 清美は、声をあげて泣いていた。
 おれは、泣きじゃくる清美の背に腕を回し、めいっぱい抱きしめた。
 清美の体の震えが、伝わってくる。
 清美の温もりや、その身体の柔らかさ、そして、ふんわりと漂ってくるいい匂い。
 やばい、と思った時には、もう遅かった。
 そう。
 その時、おれは不覚にも、ちんちんを勃起させてしまったのである。
 おれの胸の中で泣きじゃくっていた清美が、ふいに泣き止んだ。
「……なんですか、これは」
 カチカチに反り返ったおれのイチモツが、ズボンの布越しに、清美に押し当たっていた。
「いやあ、生理現象というか……」
 あるいは、男の悲しいサガとでも言うべきか。
 そういや、このところ忙しくて、抜く暇もなかったもんな。
「プロデューサー」
 ゆらり、と清美が体を起こす。
 おれは、ごくり、とツバを飲み込んだ。
 ビンタのひとつやふたつくらいは、覚悟しておこうと思った。
 だが。
「ぷっ……あはは、なんですか、もう、こんな時に!」
 清美は怒らなかった。
 清美は、笑っていたのである。
 おれは、しばらく、あっけにとられたように、清美を見つめていた。
 いや、見とれていたのかもしれない。
 彼女の笑顔に。
 清美は、ほんとうに心からおかしいといった様子で、腹を抱えて笑い転げていた。
 その顔に、さっきまでの、不安に怯える暗い影は、もうなかった。
 おれは、自分の胸が、どきどきと高鳴るのを感じていた。
 ああ、もう、チクショウ。
 可愛いじゃねえか。
 おれの負けだ。
 おれは、心の中で、白旗をあげていた。
 それだけ、清美の笑顔はきらきらと輝いて、眩しかった。
 もう、そのときには、おれは骨の髄まで、彼女に惚れ込んでいたのである。


  /


「プロデューサー、なにか考え事してますか?」
「ん、ああいや、ちょっとな」
 おれは、服の上から、清美の胸をふにふにと揉んでいた。
 制服の、夏服だ。
 布越しに、柔らかな肉の弾力が、手のひらへと伝わってくる。
 ベッドの縁に、ふたりで腰掛けている。
 まず、おれがベッドの端に座り、その上に、清美が腰掛けている。
 清美は、軽く背中をおれに預けている。
「色々と、昔を思い出してたんだよ」
「もうっ、なにをお年寄りみたいなこと言ってるんですか……んっ」
 指先にちょっと力を入れる。清美の体が、ぴくんと跳ねた。
 あれから、色々なことがあって、まあ結局おれたちは、こういう関係になった。
 だって、しょうがねえだろう。
 いい女がいれば、抱きたいと思う。惚れた女なら、なおさらだ。
 もちろん、紆余曲折はあった。
 まあ、それはいい。
 今は、清美との行為に没頭しよう。
 おれは、後ろから、清美のうなじに顔を寄せた。
 耳のところに、眼鏡のフレームがかかっているのが見えた。
 ふっと、息を吹きかける。
「ひゃわわっ……!」
 くすぐったそうに、清美が肩をすくめる。
 それを押さえつけるように、首筋にキスをした。
「んっ! は……」
 清美の弱いところは、よくわかっている。
 おれは、舌先でちろちろと耳の後ろをくすぐってやった。
「あ……ぁ、んんっ……」
 もじもじと身を捩る清美の身体を、逃げられないよう後ろからぎゅっと抱きすくめる。
「シャワー、浴びてきたのか?」
「はい。今日はレッスンの帰りだったので」
「なんだ。別に汗臭いままでも良かったのに」
「ダメですよ! こういうことの前には、きちんと身を清めなければ!」
「こういうこと、ってのは、どういう行為のことかな」
「そ、それはっ……」
 清美が、かあっと顔を真っ赤にして口ごもる。
「聞きたいなー、清美の口から」
「い、言えるわけないじゃないですかっ! 風紀が乱れます!」
 いや、もうこれだけ日頃あれこれヤッておいて、いまさら風紀も何もねえと思うんだけど。
 まあ、そこは言わないでおこう。お堅い清美を口八丁で丸め込んでベッドに連れ込んだのは、他ならぬおれなんだし。
「清美、こっち向いて」
 おれは、清美の顎を持ち上げ、顔をこちらに向けさせた。
「んっ……」
 そうして、唇を重ねる。
 柔らかな感触。
 唇の形を確かめるように、そっと舌先でなぞる。
 その舌に、清美の舌が触れた。
「んふ……んん、む……ぅ」
 くぐもった吐息に、ぴちゃぴちゃと互いの唾液を貪り合う微かな水音が混じる。
 ふたりの舌が、まるでそれ自体が意思を持ったひとつの生き物であるかのように、うねり、絡まり、扱き合う。
「ちゅっ、ちゅく、くちゅるっ……んんむ、んっ……ふ」
 最初の頃は、キスひとつするのにも大騒ぎだったのが、随分とこなれてきたもんだ。
 清美の唇と舌の感触を楽しみながら、おれはそっと太ももに手を伸ばした。
「んっ! ぁ……んむ」
 はじめはスカートの上から。
 少しずつ、撫でる位置をずらしてゆく。
 するりと、両脚の間に手を滑り込ませると、清美は一瞬、ぴくんと膝を震わせた。
 反射的に、脚を閉じようとしたのだろう。
「よしよし、よく我慢したな」
 えらいえらい、と頭を撫でてやると、かえって恥ずかしくなったのか、清美は真っ赤になった頬をぷくっと膨らませた。
「こ、この方がプロデューサーが触りやすいと思ったんですっ!」
 そう言って、清美はがばっと大きく両脚を開いた。
「おー……」
 スカートが大きくめくれ上がり、太ももから下着までが露わになる。
 いやまあ、そりゃこの方が弄りやすいし、眺めもいいけどよ。
「いいのかねえ、風紀委員ともあろうものが、こんな大股おっぴろげた格好しちまって」
「い、いいんです! それに風紀委員じゃなくて、超☆風紀委員ですから!」
「はいはい、わかったわかった」
 本当は全然何言ってるのかわかっちゃいないが、おれは適当に相槌を打っておいた。
「じゃ、遠慮なく」
「んっ! ひゃ……ぅ」
 大きく広げられた両脚の付け根に、下着の上から触れる。
 布越しでもはっきりとわかるほど、そこはじっとりと湿っていた。
 ぷっくりと膨らんだ恥丘の形をなぞるように、指の腹で何度もなぞりあげる。
「ふぁぁ……ぁ、んんっ……」
 清美の肩がぷるぷると震え、か細く甘い声が、吐息に混じってこぼれだす。
 おれは、清美のそこを執拗になぞりながら、もう片方の手で、上着を脱がせていった。
 薄暗い部屋の中に、清美の白い肌が鮮明に浮き上がる。
「は……ぁ、んっ……!」
 下着も脱がせ、スカートも下ろさせた今、清美の肉体を包んでいるものは、何もなくなっていた。
 小ぶりだが、形のよいふたつの乳房。
 その先端で、つんと尖って上を向いている乳首。
 可愛らしいへそのくぼみも、その下方に見える慎ましい陰毛の茂みも、すべてがおれの目の前にさらけ出されている。
「はぁぁっ……ぅ、プロデューサー……ぁ」
 清美が、せつなそうな声で、おれを呼ぶ。
 眼鏡越しに見える、とろんと潤んだ清美の瞳の奥に、抑えきれない肉欲の炎が、ちろちろと燃えている。
 溢れてくるのは、見られていることへの羞恥か。
 あるいは、羞恥が生む、淫らな興奮への歓びか。
 いや、実際には、その両方であるのかもしれない。
 清美の火照った肌が生む熱が、おれをあぶる。
 まるで、オナニーを覚えたてのガキの頃のように、おれのペニスは、痛いほどギンギンに勃起していた。
「しゃぶれ……」
 おれは、ズボンを脱ぎおろし、清美の前に膝立ちになった。
「はい、プロデューサー……」
 うっとりと夢見るような目つきで、清美は反り返ったおれのそれを、口に含んだ。
「うっ……くぅ」
 あたたかな温度に包まれてゆく感触。
 清美が、その唇で、おれのペニスをなぞってゆく。
「んっ、んむっ……ぅ、んんふ……」
 くぐもった吐息。
 口いっぱいに、おれ自身を頬張った清美が、愛おしそうにそれをしゃぶる。
「ちゅぱ、じゅるるっ……じゅぷ、じゅぽじゅぽっ」
 唾液ごとすすり上げるような音が、部屋の中に響く。
 清美が頭を上下に動かすたびに、根っこから引っこ抜かれるような快感が、ぞくぞくとおれの背筋を駆け上ってゆく。
 柔らかな舌が、裏筋に沿って細やかに動く。
「ッ……上手くなりすぎだぞ、オイ」
「んむ……ちゅぱ……、ふふっ、プロデューサーの教えのおかげですから……」
「だからって、これ以上されたら……出ちまうっ……」
 おれが腰を引くのと、ペニスの先端から白濁した精液が勢いよく迸るのとは、ほぼ同時だった。
「んっ! ぁ……ふぁぁっ……ぁ」
 びゅくびゅくと迸る白い樹液を顔に浴び、清美が一瞬、驚いたような表情を浮かべた。
 淡桃色の唇から、前髪のあたりまで、飛び散ったザーメンがべっとりと張り付き、清美の顔を汚してゆく。
 眼鏡のレンズにも、ぷるぷると粘り気の強い精液が、たっぷりとふりかかってゆく。
 清美の顔に浮かんだ驚きの表情はすぐに、自信に満ちた笑みへと変わった。
「ふふっ、気持ちよかったんですね、プロデューサー」
 そう言って、清美はちろりと舌を出し、自らの唇を舐めた。
 ピンク色の舌に、白濁液が絡みつくのが、ひどく扇情的な光景に見えた。
「しょうがないですね、私の超☆ご奉仕にかかれば、プロデューサーといえどイチコロです」
「……言うようになったな、こいつ」
 おれは、ぐい、と清美の手を引いた。
「きゃっ……!?」
 覆いかぶさるようにして、そのまま、ベッドに押し倒す。
 膝をつかんで持ち上げるように両脚を開き、そのあいだに、自分の体を割り込ませた。
 あからさまな眺めが、おれの眼下に広がった。
「どうした? さっきより、えらく濡れてるじゃねえか」
「う……そ、それはっ……その」
「おれのをしゃぶりながら、感じてたんだろう?」
「ち、違いますっ!」
「正直に言わないと、続きはまた今度だぞ」
 おれは、まだ硬さを保ったままのペニスを、清美の肉のほころびに擦りつけた。
 くちゅくちゅと、亀頭で入り口を浅く抉ってやる。
「ひぁ……んっ、ぁ……はっ……ぁ!」
「さあ、どうした? 言わなくちゃわかんねえぞ」
 先端をわずかにくぐらせ、浅瀬をゆっくりと往復する。
 それだけで、清美のそこは、きゅうきゅうと収縮し、じわりとさらに愛液を垂れ流してゆく。
「わ、わかりっ……ました、言いますっ……からっ」
 言葉と言葉のあいだに、苦しげな吐息が混じる。
「ああ。聞かせろよ、清美……」
「私っ……は、プロデューサーの……おちんちんっ……舐めながら……興奮して、感じてっ……ましたぁ……」
 羞恥心に真っ赤になりながら内心を吐露してゆく清美を見て、ぞくぞくと、興奮がおれの背をかけあがってゆく。
「超☆風紀委員ともあろうものが、とんでもない淫乱だな」
「ち、違……いますっ」
「違わねえだろう? それに、こういう時になんて言えばいいかは、前にも教えたよな」
「う……い、言うんですか、あれ」
「言わないと、おれも入れてあーげない」
「うう……そのっ、清美は、本当はいやらしいこと大好きな……ドスケベエロ委員ですっ!」
「惜しいな、超☆ドスケベエロ委員だろう?」
 言いながら、おれは、ずぶりと清美の膣内へともぐりこんだ。
「あぁぁあっ……んぁぅ! はぁいっ……ぁ……ひぁぁんく!」
 そこは、熱くぬかるんでいた。
 喘ぎ声とも、叫び声ともつかぬものが、清美の口からこぼれる。
「くっ……はぁぁ……あ!」
 おれは、ぐっと奥歯を噛み締めた。
 清美のそこが、おれを咥え込んで、うねるように締め付けてくる。
 さっき出したばかりだというのに、気を抜けば、またすぐにイッてしまいそうだった。
「あっ! あぁんっ! んぁぁあ……ぁ!」
 夢中で腰を打ち付け、清美の中を往復する。
 そのたびに、甘い悲鳴がおれの耳をくすぐる。
 いい声だ。
 たまらねえ。
 おれに絡みついてくる、この肉の具合はどうだ。
「んっ! んんぅ! は……ぁっ、あぁあ……ぁ!」
 身体の内側を駆け巡る快感を吐き出すように、言葉にならない声が、清美の唇からあふれ、洩れ出してゆく。
 しゃべる時とも、歌う時とも違う、男と女が、こうしてひとつになるときだけ出す声だ。
 おれだけが知る、清美のその声。
 もっとだ。
 もっと、聞かせてくれ。
 執拗に突き上げるペニスに、清美の膣肉が、ヒクヒクとわななくように収縮する。
「プロデューサー……ぁ、あぁぁは……んっ! んぁっ……あっぁあ……!」
 泣き出しそうにくしゃくしゃになった顔で、清美がおれを見上げる。
 どうした。
 イキそうなのか。
 いいだろう。
 おれも、もう限界だ。
「清美、一緒に……」
 おれは、清美の小さな体を、強く強く抱きしめた。
 それで、清美が壊れてしまっても、構わないというほどに。
 手加減など一切忘れて、きつく体を結びつけながら、清美の奥を、ごつごつと叩く。
 どうしてだろうか。こんなにも清美が愛おしく、大切なのに、おれは今、まるで清美を壊そうとしているみたいじゃないか。
 わかっている。
 男は、結局のところ、ケダモノなのだろう。
 けれど、清美は、そんなおれを受け止めようとするかのように、おれの体を、ぎゅっと抱きしめ返してきた。
「ふぁぁあぁあっ! あっ……あぁぁあぁぁんっ……!」
 ひと際高いよがり声とともに、清美の体がびくんと仰け反った。
 おれのものを咥え込んだそこが、きつく収縮する。
 おれは清美の体の一番奥深くで、したたかに射精していた。
 体の芯から根こそぎ引っこ抜かれるような、太く長い射精だった。
「あっ……ぁ、プロデューサーの……が……、中っ……溢れてっ」
 子宮に精液をぶちまけられながら、清美が酸欠の金魚のように、口をぱくぱくとさせあえぐ。
 いいぞ。
 たっぷり孕め。
 原始の本能がもたらす征服感に、おれはぞくぞくと震えた。
「はぁぁ……あ」
 すべてを出し切ったあと、おれは急速に全身から力が抜けていくのを感じた。
 ぐったりと、覆いかぶさるように、清美の上に重なる。
 ふわりと、何かがおれの後頭部に触れた。
 それは、清美の手のひらだった。
 清美が、おれの頭を撫でている。
 ああ。
 この感触はいいな。
 さっきまで、おれの中で猛々しく暴れていたものが、次第におとなしくなっていき、やがて霧散するように溶けて消えた。
 立て続けに射精したおかげか、体が鉛のように重い。
 目を閉じると、いい感じに眠気がやってきて、おれはそのまま、心地よい浮遊感に身を任せた。
 眠りに落ちる寸前、おれは清美にキスをした。
 いや、ひょっとしたら、それは夢だったのかもしれねえ。
 まあいいさ。
 夢の中でも清美に会えたってことだ。
 悪くねえな。
 おれが惚れた女は、夢の中でも、最高にいい女だ。


 /


 客電が落ち、ホールを埋め尽くした観客のざわめきが、息を呑んだように静まり返る。
 おれは、傍らに立つ清美の顔を見た。
 いい顔をしている。
 緊張はしているが、しすぎてはいない。
 どこか、その緊張を楽しんでいるようにも見える。
「フルハウスだぞ、清美。ビビってねえだろうな」
 清美はにっこりと笑った。
「ふふん。私を誰だと思っているんですか」
「そうだったな」
 今度は、おれがにやりと笑う番だった。
「超☆トップアイドル、冴島清美だ」
「そして、あなたは超☆敏腕プロデューサーですよ、忘れないでくださいね」 
「おう」
 おれは、右腕を顔のあたりまで持ち上げた。
 手のひらを、清美に向ける。
「じゃあ、行ってきます!」
「ああ。ぶちかましてこい」
 ぱぁん! と、ハイタッチの音を残して、清美は光り輝くステージへと駆け出していった。
 地鳴りのような大歓声が、舞台裏まで届いてくる。
 
 

 END.