2012年7月10日

■ 第53期王位戦七番勝負 第1局

さて、今日から王位戦が開幕しました。
やはり注目は挑戦者の藤井九段がどのような作戦を用いてくるかというところでしたが、まずは近年採用の増えていた角交換振り飛車を第1局に持ってきました。
この角交換振り飛車、角道を止めないで飛車を振るというものなのですが、一旦四間に振って自分から角交換し、その後再び振り直すという独特な手順。いわば手損のオンパレードで、かつての常識からは考えられなかった戦法と言えるかもしれません。現代将棋の大きな特徴の一つに手損に対する意識の変化があると言われますが、一手損角換わりがその嚆矢だとすれば、角交換振り飛車は一つの極北であるかもしれません。
盤上は一日目ということもあってゆっくりした展開でしたが、封じ手間際になって藤井先生の42銀引という大胆な構想が出て、それを受けた羽生王位が74歩と戦端を開きました。もはやお互いに構えた切っ先が頬に触れるような緊張感のある局面で、明日は封じ手から大注目の戦いになりそうです。