
■ 第83期棋聖戦五番勝負 第3局
棋聖戦第3局、やはり横歩取りとなった本局ですが、羽生二冠が難解な終盤戦を制して勝利し防衛に成功。通算タイトル獲得数を81期に伸ばし、ついに故大山康晴十五世名人の持つ80期の記録を更新しました。
いや本当になんかもう途方もない数字ですね。現役棋士で二番手につけているのが谷川先生の27期ですから、ずば抜けているとかいうレベルじゃなく鬼畜眼鏡ですよ。偉大な業と書いて偉業、まさに文字通り。そもそも普通はタイトル取るだけですごいというのに、それを81期とか。
挑戦者の中村太地六段も棋聖戦こそ敗れたものの今期ここまで好調を維持してますし、いずれ再びタイトル争いに絡むような活躍を見せてくれるのではないかと思います。
これで来週からは羽生VS藤井の王位戦ですか。熱い。
棋聖戦第2局。
戦型は角換わりとなりましたが、後手の羽生棋聖が終始優勢を保ちながら、最後は切れ味鋭い寄せで勝利。開幕から二連勝で防衛にリーチとなりました。
挑戦者の中村六段もなんとか粘ろうとしていましたが、一度優勢になってからの羽生棋聖の隙のなさはさすがといった感じですね。
解説は高橋道雄九段でしたが、案の定話題がしょっちゅう特撮やらアニメやらオタ方向に突っ走って面白かったです。けいおん!とかAKBについて熱く語ってたりとか。このエネルギーが50代にしてなおA級を維持し、力強い将棋を指し続ける秘訣なのかもしれません。聞き手の中村桃子女流一級はドン引き、もとい苦笑しっぱなしでしたけども。
名人戦もついに決着しました。
ここまで全て先手が勝ち、交互に星を取り合ってきた今期の番勝負ですが、ここにきてついに後手の森内名人が勝利。名人位の防衛を決めました。
角換わりからの新工夫や終盤の正確な寄せなど見所の多かった今局ですが、盤外でも佐藤先生と橋本先生のゆるーい掛け合いとかニコ生の渡辺竜王による解説とか色々面白かったです。昨日と今日でえらく雰囲気の違った佐藤先生ですが、橋本先生が解説中にさりげなく「ここで桂(かつらを)取って…」とイジって佐藤先生が「いや桂(けい)って読むんですよ」と返したりとか。あとちょっと前のNHK杯戦での対局者インタビューのネタとかもえらくイジられてましたね。今回の立会人が豊島六段だったのはもうなんかの運命としか。
それにしても、シリーズ全体としてはやはり名人の強さが際立った感じでしょうか。重厚な将棋が多く、鉄板流とも称される森内将棋の真髄が出た今期だったと思います。
百戦錬磨の羽生二冠に新進気鋭の若手(イケメン)中村太地六段が挑む、第83期棋聖戦が開幕しました。
戦型は大方の予想通り横歩取りに。序盤早々飛車切りに踏み込んでなお混沌とした形勢というのが恐ろしいですね。お互いに薄い玉で大駒が飛び交う、横歩らしいスリリングな展開でした。解説の広瀬七段が横歩取りは形勢判断が難しい戦型だと言っていたのもむべなるかな、という感じです。
終盤は後手良しになったかと思ったのですが、持ち時間が切迫する中で一瞬の逆転機を逃さず羽生棋聖が勝ちに。こういったところは経験の差があらわれたのかもしれません。
ともあれこれで硬さもとれるでしょうし、次局は挑戦者の巻き返しに期待したいと思います。